GLP-1注射 ダイエット効果と副作用

GLP-1ダイエットを「超」真面目に解説

当サイトではこれまで、痩せサプリ「ドクタースタイル」のGLP-1ダイエットや、医療機関の抗肥満薬としてのGLP-1ダイエットを口コミ中心に紹介してきましたが、今回は、医薬品としてのGLP-1に真剣に向き合います。

真剣、というからには、本ブログ記事に関しては著者としてのライター以外に真偽をジャッジメントするための監修者をおき、名前と出所も明記したいと思います。科学も美容も語れるということで、博士(工学)中浜数理氏に監修を依頼しています。

  • お名前:博士(工学)中浜数理(なかはまかずみち)
  • 略歴1:由風BIOメディカル株式会社 代表取締役 最高執行責任者・最高技術責任者
  • 略歴2:慶應義塾大学理工学部 訪問研究員(再生医療等)
  • 略歴3:一般社団法人日本スキンケア協会 顧問
  • 略歴4:Liruu監修者

GLP-1とは

インクレチン(消化管ホルモンの総称)の一種です。体の中に食物が取り込まれると、脾臓からインスリンと呼ばれる血糖値を下げる働きのあるホルモンが分泌されます。GLP-1はインスリン分泌を促す役割を担います。

GLP-1がインスリン分泌を促すメカニズムはこうです。脾臓にはGLP-1受容体というGLP-1が作用する部位があり、このGLP-1受容体がGLP-1を感受して活性化することでインスリン分泌が活発になるのです。この部分、GLP-1ダイエットの仕組みとも密接に関わっているので「要チェック」です。

GLP-1ダイエットのメカニズム

血糖値のコントロール

著者が他の記事でGLP-1ダイエットだの医療機関の抗肥満薬だの書いているのは、GLP-1受容体作動薬のことで、体の中にもともと存在するGLP-1とは別物です。「GLP-1を感受した!」とGLP-1受容体を上手に騙して脾臓からインスリンをたくさん分泌させ、血糖値をコントロールするわけです。

満腹感の演出(過食の抑制)

また、近年の研究により、GLP-1とインスリンが協働的に作用して脳内の求心性迷走神経(脳神経の中で腹部にまで到達する神経)を活性化し、食後のような満腹感を脳に錯覚させることがわかってきました。即ち、GLP-1受容体作動薬は、GLP-1受動態のみならず脳まで騙して満腹感を演出し、過食を防いでダイエット成功に寄与するわけです。

その他の期待値

ネット検索すると、GLP-1受容体作動薬には「食物の腸内吸収を抑制する効果があるためダイエットに良い」とか「基礎代謝を高める効果があるためダイエットに良い」などの情報もヒットしますが、この2つはあくまで仮説の域をでないようです。

腸での吸収抑制

前者に関し、体の中にもともとあるGLP-1は胃の中にあるGLP-1受容体にも作用して胃排泄(食物が胃から腸に運ばれること)を抑制する作用があるそうです。胃排泄が遅れる分、腸での吸収が抑制されます。ただ、この点に関してのGLP-1の生理的な役割はまだ十分に解明されていないそうで、GLP-1受動態作動薬に至っては言うまでもありません。

基礎代謝の向上

後者に関し、GIPというGLP-1と対になる消化管ホルモンの働きが関係しているようです。GIPは脂肪細胞に直接作用することが知られており、GIP無だと脂肪細胞の栄養素蓄積が低下し(代謝が促され痩せる)、GIP有だと逆(太る)の現象が生じます。GIPとGLP-1が対の生理的作用を示すというアナロジーから、GLP-1受容体作動薬を使うと基礎代謝が上がるという連想になっているようで、きちんとした検証がなされているわけではないようです。

GLP-1ダイエットのメカニズムまとめ

ここまでをまとめます。GLP-1ダイエットの正体は消化管ホルモンのGLP-1そのものではなく、GLP-1受動態作動薬というGLP-1と似た生理的作用を示す医薬品です。GLP-1受動態作動薬がダイエットに効果的な理由は、以下4点で、このうち、3と4は今のところ十分に検証されているわけではありません。

  1. 血糖値をコントロールする
  2. 満腹感を演出し過食を抑える
  3. 食物の腸での吸収を抑制する
  4. 基礎代謝を高める

医薬品としてのGLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の薬です。糖尿病には1型糖尿病と2 型糖尿病があります。簡易に説明すると、1型糖尿病は「体の中でインスリンが分泌され過ぎる」病気で、2型糖尿病は「糖過多で体の中でインスリンが不足気味」な状態です。同じ糖尿病でもこの2つを間違えると大変です。

インスリンは血糖値を下げる「正義の味方」のように感じてしまいますが、実際は、凄まじい攻撃力をもっています。糖と打ち消し合って後に余ったインスリンは、直接的にも間接的にも体内の様々な器官を攻撃して傷つけます。このため、1型糖尿病ではインスリン分泌を抑制する薬を使います。2型糖尿病と混同してGLP-1受容体作動薬など使用するのは禁忌です。

GLP-1受容体作動薬と2型糖尿病の話に戻します。2型糖尿病は血糖値の高い状態であり、この状態が続くと様々な合併症が生じ得ます。代表例は、糖尿病の三大合併症とも呼ばれる糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症ですが、この他にも脳梗塞、心筋梗塞など重篤な症状ばかりです。

これらの合併症は、血糖値を厳密にコントロールしている患者さんほど生じるリスクが小さいことがわかっており、この血糖値のコントロールに用いる医薬品がGLP-1受容体作動薬です。非常に重要な医薬品ですから、当然、2型糖尿病の治療薬としてGLP-1受容体作動薬は厚生労働省から認可されています。

抗肥満薬(ダイエット目的)としてのGLP-1受容体作動薬

しかしです。気になるダイエット目的の抗肥満薬としては認可されていません。このため、GLP-1ダイエットにチャレンジするには、GLP-1受容体作動薬を自由診療項目として入手する必要があります。国民皆保険で保険適用診療が当たり前の日本人にとって、自由診療項目のGLP-1ダイエットは目玉が飛び出るほど高額です。これは残念、と著者などは思ってしまうのですが、事はそう単純ではありません。

GLP-1ダイエットを推奨している医師はこう言います。「GLP-1受容体作動薬は欧米ではダイエット目的の抗肥満薬として認可されている安全な医薬品である」と。これに対し、GLP-1ダイエットを否定する医師はこう言います。「GLP-1ダイエットの副作用で死亡するリスクを含め一般社団法人日本糖尿病学会が警鐘を鳴らしている」と。

GLP-1ダイエットの副作用

「風評でない」実態調査

一般社団法人日本糖尿病学会がGLP-1ダイエットに対して具体的にどのような警鐘を鳴らし、どのような副作用を懸念しているのか調べてみました。結果、著者の調査範囲でわかったのは、一般社団法人日本糖尿病学会に加え、医薬品医療機器総合機構(通称PMDA)も公にGLP-1ダイエットに関する副作用を指摘しているということです。

PMDAとは厚生労働省内の、一般社団法人日本糖尿病学会よりずっと上層の権威ある組織です。曰く、「2型糖尿病の治療薬である「GLP-1受容体作動薬」が、ダイエットや痩身などを目的とした適応外の使用をされているとして、製薬各社が「2型糖尿病以外に使用された場合の安全性・有効性は確認されていません」と強調している」とのことです。

回りくどくてわかりにくいので単純化すると、PMDAというのは日本国内の医薬品承認の親玉で、ここに背くと製薬各社は日本で商売ができません。PMDAは厳格な組織です。国内治験されていない内容を快く思うはずもありません。よって製薬各社は、欧米ではGLP-1受容体作動薬を抗肥満薬として販売しているものの、日本向けにはトーンを落とさざるを得ないということです。

副作用のリスクは確かにある

ネット上で様々に論じられているGLP-1ダイエットの風評に関し、その実態はわかりました。そうであれば副作用のリスクはないか?というとそういうことではありません。ダイエット目的の抗肥満薬どころか、承認されている2型糖尿病患者さんに対しての使用例でも様々な副作用が報告されています。

副作用の最たるものが低血糖症です。GLP-1ダイエットのメカニズムを鑑みるに当然の副作用です。以下、低血糖症の一般的な症状を列挙します。

  • 冷や汗が出る
  • 気持ち悪くなる
  • 手足が震える
  • ふらつく
  • 脱力感がある

最悪、昏睡する場合があるので要注意です。万一、GLP-1ダイエットの副作用で低血糖症の症状を感じたら、すぐに糖分を摂取して安静に過ごしましょう。そして、もしも症状の改善が見られない場合は、医療機関に連絡し指示を仰ぐようにしましょう。

その他の副作用で多いのは、消化器系の症状で、具体的には、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などです。

GLP-1受容体作動薬 製造販売元および製品一覧

  • ノボ ノルディスク ファーマ
    • ビクトーザ皮下注射18mg
    • オゼンピック皮下注射0.25mg SD
    • オゼンピック皮下注射0.5mg SD
    • オゼンピック皮下注射1.0mg SD
    • リベルサス錠3mg(販売提携:MSD)
    • リベルサス錠7mg(販売提携:MSD)
    • リベルサス錠14mg(販売提携:MSD)
  • アストラゼネカ
    • バイエッタ皮下注射5µgペン300
    • バイエッタ皮下注射10µgペン300
    • ビデュリオン皮下注射2mgペン
  • サノフィ
    • リキスミア皮下注射300µg
  • 日本イーライリリー
    • トルリシティ皮下注射0.75mg(販売元:大日本住友製薬)

GLP-1ダイエットを「超」真面目に調査して

今回、GLP-1ダイエットの効果と副作用、そしてネットに拡散している都市伝説的情報を、監修者を交えて相当な労力をかけて整理してみました。国会図書館にも行きました。医師にもヒアリングしました。2021年2月時点でここまで精力的にGLP-1ダイエットを調査したブログ記事はないのではないかと、著者は自画自賛しています。

このWEBサイトでは、この記事以外にもGLP-1ダイエットに関するブログ記事が複数あります。以下、それらのリンク集です。もし、この記事と他のブログ記事で情報の矛盾を発見した場合、この記事が正解です。どっちが正しいの?と迷われませんようお気をつけください。

最後に、45歳を過ぎて代謝も落ち、体重増が続く著者としては、GLP-1ダイエットにものすごく興味があります。・・・とはいえ、副作用も怖ければ高額な医療費も怖いという状況です。そこで、事実としてどのくらい痩せるのか?について、体験者5名に突撃インタビューを実施しましたので、結果共有を以て本記事の締めくくりとします。

体験者5名何れもが「WEB広告のBefore Afterで見かけるように劇的に痩せるわけではない」とのことです。あら残念。

この記事は当社の自動リライトツール「半自動リライト方法」を応用して定期的にリライトしています。