個性主義と人格主義の両輪

個性主義に対する「あらぬ誤解」発祥は?

多様化の時代、個性主義が社会の主役になろうとしています。「個人主義」ではなく「個性主義」です。2022年2月末、Googleで「個人主義」と検索してみたところ、サイドバーに「個人主義」という言葉が出てきて、ちょっとがっかりしました。

個人主義とは、国家や社会の権威を否定し、個人の権利と自由を尊重する立場です。あるいは、共同体、国家、人種、家族の重要性を、個人の尊厳と、その権利と義務が生じる原理に基づいて考える観念形態の1つです。

この文章をちょい読みすると「ん? 個人主義って実は高尚な思想なの?」と勘違いするかもしれません。確かに、個人の権利と自由を尊重し、権利と義務を結び付けるなど、立派な面はあります。とはいえ、国家や社会の権威を全否定する必要はないでしょう。なぜ人は極端なところから別の極端に駆られるのか著者にはわかりません。

個性主義も同様です。人格主義と対比して「個性主義でなく人格主義であれ」と言いたがります。Googleで「個人主義」と検索して上位表示される記事群もやはりこの手の内容です。ちなみに合わせて関連ワードに表示されるのは以下の8ワードです。

個性主義も同様で、人格主義と対比され不当に貶されることがよくあります。Googleで「個人主義」と検索して上位にでてくる記事群は、何れも人格主義の支援者です。ちなみに、関連ワードには以下の8つの単語がでてきます。

  • 個性主義 英語
  • 人格主義
  • 人格主義 わかりやすく
  • 7つの習慣 原則とは
  • 7つの習慣 実践
  • 7つの習慣 図
  • パラダイム
  • 7つの習慣 おすすめ

おお!これはわかりやすい!!要するに、スティーブン・R.コヴィー著の『【完訳】7つの習慣―人格主義の回復―』が要因です。

『7つの習慣』とは

全世界で3000万部以上、日本でも180万部を超える大ベストセラーです。しかし、その面白さやありがたいさが著者にはピンときません。欧米で人気がある理由がよくわかります。善悪は別にして、彼らの生き様は昔も今も変わりません。暴徒化して下院を制圧したトランプ前大統領の支持者等にとって、これ本はもう「目から鱗」でしょう。

これを漫画にするほど興奮する「日本人」の心理状態を、著者は、日本人ながらにして理解し難いのです。「私」の犠牲。「公」のため。「国」のため。この侍魂こそが、著者ら日本人のDNAに刷り込まれた美徳であり、まさに『7つの習慣』の人間主義そのものです。そもそも「当たり前」を逆輸入し、感謝してきたからこそ、著者ら日本人は立場も精神も彼らと未だ対等になれないでいます。

『7つの習慣』を簡単に復習します。

「アメリカ建国以来」著されてきた「成功」に関する文献をレビューした結果、直近50年の文献の多くがコミュニケーションスキルやポジティブシンキングなどの「テクニック」にフォーカスしているのに対し、最初の150年の文献では、正直さ、謙虚さ、勇気、正義、忍耐、勤勉さ、節制、黄金律などの不変の「原則」に基づく「善良な道徳心の育成」にフォーカスしていることがわかったのだそうです。

スティーブン・R.コヴィー氏は、前者の時代のものの見方を「個性主義」、後者の時代のものの見方を「人格主義」と表現しています。『7つの習慣』とは、後者の時代の文献から「人格主義」に基づく成功法則を抽出して再構成した、今で言う「まとめ記事」に類する書籍で、当然に「個性主義」よりも「人格主義」に傾倒した内容になっています。

もっとも、スティーブン・R.コヴィー氏にそのような意図があったかどうか、疑問点もあります。日本語訳文書籍の副題「成功には原則があった!」の部分は、原著にないフレーズで「マーケティング用」に追記されたミスリード部分であることがわかっていますし、書籍中の「個性主義」と「人格主義」の対比箇所も、「翻訳者」のサジ加減で「読者」印象が操作されそうな懸念部分が散見されるからです。

日本人に足りないのは個性主義

書中、優れた人格をもつことを人格主義とし、「一次的な真の成功」と表現されています。これに対し、社会的成功、表面的成功(才能なのを社会的に認められること)、個性を示すこと、コミュニケーション能力、他人に影響を与える戦略、前向きな姿勢などを個性主義とし、これを「二次的な成功」と位置づけています。

著者が着目する点は2点です。

ひとつ目、「優れた人格」の部分に関し、原文に戻って「良い個性」と訳し直して読み返してみると、この書籍から感じる思考偏重の度合いが相当に緩和される、と言うか全く異なる印象の書物になるという点です。

元々軽度にさわられていた「個人主義と人格主義の協心戮力の関係性」が、より重要視されたものとしてみえてきます。「協心戮力」は「きょうしんりくよく」と読み、心と力を合わせて、互いに協力して物事に取り組むという意味です。うーむ、そうすると益々、スティーブン・R.コヴィー氏の本来の趣旨がマーケティング段階で人格主義傾倒にねじ曲げられたのではないかと、疑りたくなってしまいます。

ふたつ目は、個性主義の「社会的成功、表面的成功(才能なのを社会的に認められること)、個性を示すこと、コミュニケーション能力、他人に影響を与える戦略、前向きな姿勢」こそ、日本が欧米中国に劣ってしまっている所以であり、これから日本がダイバーシティに舵キリするに際しても、「これから!」「侍魂にプラスアルファ分として!!」著者ら日本人のDNAに「刷り込み必須」な内容であるという点です。

まとめ

このブログ記事のタイトル「個性主義と人格主義は協奏し競争しない協心戮力の関係性」で締めくくります。

個性主義と人道主義は「共に奏でる(合奏する)」ものであり、「個別に重視したり、優劣を論じる(競争する)」のではかく、力(個性主義)と心(人道主義)の関係を強めて協心戮力であることが大切です。そしてこのようにすることが、今日の困難な状況の中にあっても、著者、読者そして日本にとって、成功確率をあげていくことにつながると、著者は思っています。

本WEBサイト「賢備スタイル」の冒頭ページに「個性主義が社会の主役になりつつある」と書きました。

これは、日本人は生来、人間主義的な性質が相対的に備わっていることを前提に、個人主義をより一層強化していくこと、そしてしていける人から順番に社会の主役になっていくだろうという意味です。

今「相対的」と書きました。

これは別に、民族優位性を議論しようとか文化相対論の議論を深めようとかそういうことではありません。まあ、いちいちフォローしていくときりがないですし、いちいちフォローしていかないと炎上しかねない昨今の状況は、「日本も欧米同様、人間主義を振り返らなければならないターニングポイントにきてしまっているのではないか?」と心配になる部分ではあります。

最後に

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