WEBライティング|SEO対策のクラウドソーシング

「先ず書く」はWEBライターの悪手

著者は少しだけ絵を嗜みます。趣味で少しだけ教えることもあります。そして、絵と文章との共通点に気が付きます。

即ち、十分な「製図」なしに細部を精緻に描いても上手な絵はできません。文章(ライティング)も同様で、「全体像(文章の構造作りとストーリ立て)」を想定せずにしかかった文章は、他人に理解され、他人の共感を得ることはできません。

逆に、絵を描く場合も文章を書く場合も、最初に十分な準備(絵は製造;文章は構造とストーリー)さえしてしまえば、細部はクラウドソーシングの素人さんに任せても、それなりの作品に仕上がってしまいます。とはいえ、これは少し乱暴な事例かもしれません。

とはいえ、上記事例の通り、良きWEBライターになるためには全体像、即ち文章の構造と大枠のストーリーを作り込む作業に注力することが大切で、決して表現集のような小技にはしらないことが大切です。この考え方はSEOライターにステップアップする際にはさらに重要になってきます。

構成(話の章立て)作り

WEBライターに「いとをかし」的な慎み深い文章を依頼してくるクライアントはほとんどいません。WEBライターには理解しやすく、共感が得られやすく、欲を言えばSEO的な要素のある文章作成が求められます。

いったんSEO的要素を排除して話をすると、このような作文術は、偉大な先人が作業ベースにまでマニュアル化してくれています。著者をはじめWEBライティングを生業とする人のほとんどが、このマニュアルに従って「作業」として作文を量産しています。

「マニュアル」というと大袈裟かもしれません。書き出す前に、あらかじめ伝えるべきポイントを整理しておき、整理したポイントごとに書き進めるだけのことです。前者の作業を「構成(章立て)を作る」と言います。

ところがこの作業、「言うは易く行うは難し」の典型例で、舐めてかかると大変です。仕上がった作品を読み返してみると、書き残しや論理の破綻が大量にみつかり、仕事を振り出しに戻さなければならなくなったWEBライターを著者は何度もみてきています。

そう、一見うまくまとまっているように見えても、ストーリーがフェーズアップする度に「ん?」と気になってしまう不都合箇所がでてくるのです。WEBライターとしてではなく一人の読者として読むと、確かにこういう作品はストレスがたまります。

こうならないようにするには、最初の「構成(話の章立て)」の段階から、頭の中で完成原稿が仕上がってしまうくらいまで構想を練り上げておかねばなりません。

このように書くと途端にハードルが上がりませんか?でも安心してください。これらは心構えのために書いたにすぎません。偉大な先人は、先の失敗談まで予測して、誰しもがWEBライターになれるよう、「やり方論」までしっかりルーティン化してくださっています。

言葉の吐き出し作業

クライアントが事前に伝えてきている情報があるなら、先ずはそれらを「漏れなく」書き出してください。きちんとした文章でなくてもOKです。箇条書きOK。文節だけもOK。フレーズだけもOK。単語だけもOK。「抜け」「漏れ」は絶対にNGです。

次に、題意(クライアントの要求:経験上、何かの説明文であることが多い)に関連する事柄を、ご自身の体の中から吐き出せるだけ吐き出して、これらを書き出してください。これも上記と同様に、まとまった文章でなくても問題なしです。

クライアントの追加要望等で作品完成後に追記を依頼される場合があります。もしこの段で何かしらこの類の情報を入手している場合は、納品用の作品には差し込まないものの、追加依頼に備える意味で、この段で書き出しておき、原稿の想定範囲内にしておきます。

ロジックツリーの構築

次に、似たような要素(文章、文節、フレーズ、単語)をグループ化していきます。そして、グループを作ったら、今度はこの1つ1つのグループの中で似たような要素をグループ化していく作業をし、いわゆる「ロジックツリー」を作っていきます。

ロジックツリーは、ロジカルシンキングや論理的思考に関連する書籍では必ず紹介される「課題解決」のためのツールです。ここでなぜこのようなツールが出てくるか不思議に思うかもしれませんが、「誰に対しても」わかりやすい文章は、ロジカルシンキング的な思考で組み立てられるものであるため、極めて自然な流れです。

ロジックツリーとは、名称通り「課題」をツリー上に分解していくフレームワークですが、WEBライティングでは、先に吐き出し(発散)して後にグループ化した各要素を切り口ごとに再構築(収束)させるために用います。「原因に対する仮説」や「結果を予想する仮説」のような視点で各グループを眺め、整理すると不思議なことに、ごく自然にロジックツリーが完成します。

完成したツリーを今度は「いびつな点はないか?」「ツリーをきれいな形に整えるにはどうするか?」という視点で眺めます。そうすると、ツリーにとって余計な要素(文章を作るに際し余計な文節、フレーズ、単語)が白日に晒されるため、これらを除去します。また、要素が不足している部分が明らかになるため、この不足分を補う要素を他から持ってきて差し込みます。

ここまでの作業で、実は文章の大半は完成しています。「え?ホントに??」と疑問に感じるかもしれません。この疑問に回答するため「残り3節」分を簡単に下記進めていきます。

項目の作成(ロジックツリーをグループ毎に総括)

完成したロジックツリーを俯瞰し、細かくまとめたグループ毎にこれを総括する形で説明する文章を作文していきます。

この時、ボトムアッププロセス(「ツリーの枝葉の末端」から「ツリーの幹」に向かって順番に説明文を作文していく)のではなく、トップダウンプロセス(「ツリーの幹」から「ツリーの枝葉」に向かって順番に説明文を作文していく)で作文作業を進めます。

この作文作業を完了した段階で、文章の全容が「おぼろげながら」浮かび上がってくるはずです。

項目順序の決定

ロジックツリーには複数の幹につらなる大グループができています。先ず、この大グループを順序良く並べ替えます。並び替えた結果物がいわゆる目次となり、この順序に従って文章を綴っていくことになります。

WEBライターを志す人に対し、この順序決めの法則は釈迦に説法な内容ですが、念のため指針を説明すると、例えば「時系列」「思考順(三段論法や起承転結など)」「重要度順(重要なものをより優先的に)」などが挙げられます。この順序にはクライアントの意図や文章ジャンル、その時々の流行り、時勢なども配慮しなければなりません。

この時点で文章は「ほぼ」完成ですが、最後にもうひと化粧ともう一工夫を加えていきます。

コピーライティングplusアルファ

著者はコピーライティングが苦手です。ここが著者のWEBライターとして市場価値を下げている部分ですが、それでもコピーライティングについて説明すると、1万文字を超えてしまうかもしれません。このため、この項は手短に済ませます。

先ず、各グループを1フレーズで表現し、これを見出しとして利用します。見出しのキャッチこそまさにコピーライティングの領域ですが、クライアントの特別な指示がなければ「それなり」なフレーズで良いでしょう。

plusアルファはユーザビリティに関する事項です。例えば、ページが複数にまたがる場合はサイトマップやページ番号を準備するだけで、断然ユーザーに優しい文章に変わるでしょうし、ペラ1のWEBサイトであってもページ内リンクや、個別事項の詳細を記す外部リンクを挿入するのも親切です。

まとめ

このように、WEBライターにとっての文章は、「書く(作品として)」より「作る(作業として)」の趣向の強いものなので、方法論を知り、方法論に慣れさえすれば特段の作文能力を要することなく、長文をさらさらと扱えるようになるのです。「論より証拠」はここまでで示した通りです。

最後に、「無難」なまとめ方を紹介して〆とします。要は「最初に戻る」ということです。WEBライティングしかり、SEOライティングしかり、業務報告書しかり、議事録しかり、物語でもない限り「重要事項」は冒頭に配置するのが普通です。即ち、このWEBライティングに関しては、下記内容を配置するのがふさわしいということです。

「文章を書く」際に最も重要なのは、書き始める前に文章の構造とストーリーをしっかりと描ききることが大切で、ここがしっかりできてさえいれば、極端な話、あとはクラウドファンディングに任せてしまっても、それなりの文章はできあがります。それだけ「作文前の準備」は重要で、WEBライティングにおいて最も注力するべき作業です。

最後の最後に記載すると、このページの文章は、実際にクラウドソーシングに振り分けて仕上げています。著者自身、一度も顔を合わせたことのない即席チーム・超短期間でまとめたものです。読み難い箇所、論調の違う箇所があるかもしれませんが、そこは「ご愛敬」ということで!