巣ごもりで運動不足

はじめに

この投稿は、2020年5月24日に西日本新聞から配信された『「巣ごもりで便秘に・・・放置すると病気リスクも」専門家に聞く改善法』と題された記事をまとめたものです。

排便は美容と健康のバロメーター

新型コロナウイルスの蔓延を防ぐために、「外出を控える」「在宅ワークをする」などの生活習慣の変化によって便秘に悩む人が増えています。「たかが便秘」ではなく「されど便秘」です。このような状態を放置したままにすると、生活の質が低下するだけでなく、病気になるリスクを高めてしまう可能性があります。

西日本新聞さんの記事では、便秘を予防・改善するための生活習慣について、福岡市の福岡天神内視鏡クリニックの秋山祖久(あきやまともひさ)院長に、専門家としての意見をインタビューしたことに触れています。

学校が休みなので便秘になってしまった。家族がみんないて一人きりになれる時間が少なくなったせいで便秘気味になってしまった。健康管理アプリ「ウンログ」のユーザー3000人を対象に2020年4月に実施した調査によると、新型コロナによる生活習慣の変化にストレスを感じている人のうち、51.3%が排便に「変化を感じている」と回答。このうち、便秘になった人は43.3%、便通が減った人は56%にのぼったとのことです。

便秘は美容の天敵です。肌荒れをはじめとする肌トラブルとも密接に関係するため、この西日本新聞さんの記事をさらに掘り下げて読み込んでいきます。

排便の有無が大病を招く可能性も

今回の調査では「生活の変化でストレスを感じた」と回答した人が80%、運動量が減ったと回答した人が70%で、結果として、多くの方が便秘になりやすくなったと結論付けています。肌トラブルや皮膚の病気もそうですが、何事も「兆候」を見逃さないことが大切です。

排便を「健康のバロメーター」という人がいますが、私もまさにその通りだと思います。普段から、回数や色合い、形、においなどチェックしておくことで「兆候」に気が付きやすくなります。

自粛が開始されてから上記の秋山院長に届く相談も日に日に増えているといいます。氏曰く、「便秘を軽視してはいけない。心身の不調につながり、さらには大きな病気につながることもある」とのことです。

メカニズムはこうです。

排泄すべき便が腸内に溜まると、それを餌にする悪玉菌が増え、発がん性物質をはじめとする様々な有害物質が増加します。これらが全身に回ることで、心身に不具合を引き起こしてしまいます。具体的には、肌荒れ、口臭、がん、免疫力の低下、うつ病など。これらの症状は、直接・間接を問わず、何らかの形で腸内環境の悪さと関係していることがわかっています。

エクササイズで便秘解消!

美容と健康のために「1日1回」などと言われることもありますが、実は、排便の間隔には個人差があります。このため、毎日ないことに対して心配し過ぎは良くありません。とはいえ、目安としては週に2回くらいはあった方が好ましい感じです。心配し過ぎが祟ってしまい、下剤の市販薬を服用するケースもあるようですが、あまりお勧めできません。薬依存症も良くないですし、自力で排便する力が弱まってしまうことも懸念されるからです。

運動不足は腸蠕動(ちょうぜんどう)を弱めます。腸蠕動が弱まると便秘につながります。便秘になると美容と健康に良くありません。このため、自粛中とはいえ無理のない範囲でのエクササイズをお勧めします。例えば、マスクをして週3回、早歩きを30分程度してみるのも良いでしょう。私の場合、ラジオ体操。第1体操、第2体操に引き続き、「幻の第3体操」こなしています。

ほんのひと手間、少しのエクササイズでも、腸蠕動を助け、心身もリラックスさせるため、便秘予防につながります。

食生活で便秘解消!

便秘解消のパーフェクトフードと言えば食物繊維!と、思っていませんか?これ、実は半分正解、半分不正解です。食物繊維には、便をかさ増しする「不溶性食物繊維」と、便を柔らかくする「水溶性食物繊維」の2種類があります。

どちらか一方に偏り過ぎると逆効果。例えば、不溶性食物繊維ばかりだと便が硬くなって逆に便秘を悪化させてしまいます。万事バランスが大切ということ。ちなみに、不溶性食物繊維は穀物や野菜に多く含まれ、水溶性食物繊維は海藻や果物に多く含まれています。便秘解消レシピの参考にしてみてください。

最近、腸内フローラという言葉をよく耳にします。これは、腸内に生息する菌種や善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスを表現するためのものです。便秘解消には、善玉菌を増やして腸内環境を整えたいところです。ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品は、嫌いでなければ毎日摂りたいところです。難しいならサプリメントも可。

体の中の水分が不足すると便がでにくくなるので、十分な水分摂取を意識しましょう。朝起きたときにコップ一杯の水と朝食を食べると、排便が促されやすくなる「胃結腸反射(いけっちょうはんしゃ)」という現象が起こります。但し、起床してそのまますぐに水を飲むのは考え物です。起床したての口の中は細菌まみれになっています。水を飲むのは、先ず、うがいで細菌を洗い流してからがお勧めです。

プラスαの心得

福岡転身内視鏡クリニックの秋山院長は、「便秘に悩む人の多くは、自律神経のバランスが崩れています。規則正しい生活を送ること、そして、意識的にでもリラックスできる時間・方法を作ることが大切です」と話しています。

そうは言ってもできないよ・・・。

と、いう声が聞こえてきそうですが、これ、私も難しいことだと思います。できるなら最初からしてますよ、と答えたくなります。が、しかし、いきなり生活をガラっと変える必要はないのです。無理やりリラックスしようとすると逆にそれがストレスになることもあります。無理は禁物。力を一度だらっと抜いて、できることから1つずつ、ゆっくり変えていけば良いのです。